働く自由が生まれたとき【きっかけは羊!?】

おはようございます。”おこめさん”です。

ぼくは今、先生をやめて個人事業主という新しい働き方をしています。

自分の意思で働き方が選べるようになったのは人類の歴史の中では最近のことだといいます。

少なくとも会社というものができたのができたのは1600年頃。

それまでの働き方とそこからの働き方で大きく変わったんですよね。

今日はなぜ、そんな変革が起きたのか、その変革によって一般に暮らすぼくたちの生活がどう影響を受けたのか、そんなことをまとめていきます。

結論は 土地に縛られなくなり、自由を手に入れたが、生きていくためにお金を稼ぐという新しい足かせができた です。

学校では教わらない「働き方が変わった瞬間」編です。

参考

父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。

おこめさん→教員10年の後、4月から独立、6月からオンライン塾を開校予定。2021年3月末まで半年間の育休取得の2児のパパ。

※ここでいう学校では教えてくれないというのは、公教育の土台の中にこのカリキュラムが組まれていない(そんな隙間がない)ということで、熱心な先生の中には個人的に伝えている方もいらっしゃいます。ただ、仕組みとしてはそうなっていないよね という問題提起も含めてです。

著者、著書の紹介

まず、内容に入る前に、この本について紹介させてください。

著者:ヤニス・バルファキス
2015年のギリシャの経済危機のときに財務大臣を務め、EUから財政緊縮策を迫られるなか、大幅な債務帳消しを主張し、世界的に話題になった。長年、イギリス、オーストラリア、アメリカで経済学を教え、現在はアテネ大学で経済学教授を務める

国の経済のトップである財務大臣をされていた方なんですね。

その方が愛する娘のために、(もちろん世界中の人のために)わかりやすく語りかけるように書いた本、それが今回参考にする本なわけです。

かつての働き方

封建領主に奴隷が仕えていた時代、奴隷たちは汗水たらして毎日働いていました。

収穫した大部分は当然のように領主が独り占めし、残りのわずかをもらって生活をしていました。ここでの心配事は毎年きちんと収穫ができるかどうか、冬を越すだけの取り分がいただけるかどうかでした。

同じ領土に住む職人が作った器具などは奴隷が作った食べ物と交換するという形がとられていて、いわば自然に助け合う家族の食卓のような感じだったそうです。

土地自体も商品として買えるものではありませんでした。

領主は先祖代々の土地をうけつぐ、ということをしてきたからです。(売るという発想自体がなかったし、それが恥ずべきものという価値観だった)

このとき、市場社会に必要な生産の3要素(生産手段、労働者、土地)がまだ商品として認識されていなかったんですね。

グローバル貿易

ヨーロッパで造船が発達し、羅針盤が利用され、航海手段が改善されていきます。

新しい航海ルートが発見され、グローバル貿易が始まりました。

イギリスの商人はイングランドで羊毛を積み、それを中国で絹と交換しました。さらに絹を日本で刀と交換し、インドで刀を香辛料に変えてイギリスに戻ります。その香辛料で最初に積んだ羊毛の何倍もの羊毛が手に入ります。

これを繰り返すことで大金持ちになる商人が生まれたというわけです。

これをよく思わなかったのが領主たち。

自分たち以上に裕福そうにしている商人たちと、目の前に広がる畑を見て思ったそうです。「玉ねぎやビーツをつくらせて何の役に立つ?世界で見た時にビーツなんて価値があるか?これからは羊毛だ!」

そうして土地を柵で囲って立ち入り禁止にし、農奴たちを追い出してその土地の中で羊を飼うことにしたんです。

「囲い込み」と呼ばれる改革です。

これによって数百年代々同じ土地に暮らし、同じ領主に仕えていた農奴たちが、いきなり仕事も住み家も失ったわけです。

生きるために農奴たちができることは限られていました。

「なんでもしますから食べ物と寝る場所をお借りできませんか?」といって頼み込んだわけです。ここで労働力を売るという働き方が生まれました。

土地も道具も持たない人間は、自分の労働力を売って生きていくしかなかったわけです。

さらに産業革命によって工場という新たな働く場所ができていきました。

こうしてかつて農奴だった人々は、新しい形ではたらくようになりました。

同じように土地にも価値がうまれました。

羊毛がとれる量によって、土地の賃料を変化されることが始まったわけです。(草がたくさんはえて羊がたくさん飼える土地は高い)

このようにして労働力と土地が商品になっていきました。

心配事が変わった

労働力と土地が商品になったことで、人々の心配事が変わりました。

それまでは土地に一生縛られ、不正義と劣悪な扱いに苦しんでいた人々が、市場社会の到来によってある種自由になったわけです。

どこでどんな仕事をするかも自由になりました。

しかし、常に市場に頼らないといけないという新たな足かせがつきました。

自分で市場を見つけたり、新たな売り場を探さないといけなくなったわけです。

さらにホームレスになる危険といつも隣り合わせにもなりました。

これらのために一番の心配事が「お金」にかわっていきました。

おわりに

今ぼくたちが当たり前のように自分の自由を手にして仕事を選んだり、住む場所が選べたりしているのは、過去を見ると当たり前ではなかったということなんですね。

そして、この自由を手に入れたことによって新しく「生きていくためにお金を稼ぐ」ということが必要になった。

お金が人生においてきってもきれない関係になったのも、実は自由との引き換えだったのですね。

経済ってとっても難しいイメージでしたが、この本は実際の例の紹介などもとても簡潔に書かれていてわかりやすかったです。

今日もここまで読んでくださってありがとうございました。

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