おはようございます。”おこめさん”です。
今日のテーマは子育てのよくある考え方についての科学的解答です。
いきなりですが質問です。
読書をする子どもは学力が高い
子どもの勉強する楽しさをそいでしまうので、ご褒美で釣るのはよくない
テレビやゲームは子どもに悪影響を与える
これらの意見が正しいかどうか答えられますか。
今日はそんな疑問を科学的根拠をもとに解決してくれる「学力の経済学」をまとめてみました。(おこめが答えるわけではありません)
目次
教育は一億総評論家
ベストセラーになった「統計学が最強の学問である」の冒頭で次のように書かれています。
不思議なもので教育という分野に関しては、まったくといっていいほどの素人でも自分の意見を述べたがるという現象がしばしばおこる
教育を受けていない人がいない日本では、まさに
「一億総評論家」なのですね。
だからこそ、エビデンス(科学的根拠)が必要なのです。
ここでの根拠とは世界中で行われている教育現場での実験をもとに語られており、信頼に足るものばかりです。
読書をする子は学力がたかい
これについては相関関係はあるが因果関係まではわからない
というのが結論だそうです。
ここで相関関係と因果関係をまとめておきます。
相関関係:AとBが同時に起こっている
因果関係:Aという原因によってBという結果が生じた
つまり、読書自体が原因で学力が上がっているわけではないということです。
読書をする子のまわりにはさまざまな環境があり、それらが第三の要因として学力に影響を与えている可能性があるということです。
子どもはご褒美でつってはいけないのか
結論:OKです
ここは二つの視点から書かれています。
①ご褒美によって本当に勉強するようになるのか
②ご褒美によって勉強が楽しいという思いを失わせるか
①ご褒美によって本当に勉強するようになるのか
これはご褒美の設定を間違わなければ効果の高い方法として紹介されています。
人間は遠い将来の満足よりも近い将来の満足を優先した行動をとってしまうことが多いそうです。
たとえば、
ダイエットや禁煙の難しさがあげられます。
これらは遠い将来において大切なことがわかっているけど、それよりも近い将来にある満足”たばこをすいたい”、”ケーキを食べたい”を優先させてしまうというものでも現れています。
大人でもそうなのですから、子どもに対してはなおさらです。
今勉強しておけば将来の役にたつ
この言葉が子どもを動かすに至らない理由はこの通りです。
では、どのように子どもを勉強へと動かせばいいのか
勉強に対して、近い将来の満足をセットにして提示するということです。
(これがいわゆるご褒美です)
さらにこのとき
勉強を2時間やったらご褒美をあげる
テストで80点以上とったらご褒美をあげる
どちらがより効果的かというと
前者だそうです。
前者のほうがより近い将来に対してのご褒美という点もありますが、
前者はインプット(やることが明確)に対して、後者はアウトプット(何をやればいいかわからない)に対してという点も興味深いです。
基本的にご褒美はやることが明確なインプットに対して行う方が効果が高いそうです。
ちなみにアウトプットに対してご褒美を与える際もどのように勉強すればいいのか、ここをアドバイスできる人が近くにいると効果が高いそうです。
②ご褒美によって、勉強が楽しいという思いを失わせるか
これに関しても上記の実験後にとったアンケートを調査したところ
統計的に有意な差は観察されなかったそうです。
つまり
ご褒美が子どもの「一生懸命勉強するのが楽しい」という気持ちを失わせてはいなかった
ということです。
テレビやゲームの子どもへの悪影響
これらは世界のさまざまな機関で研究が進められており、それらの結果をまとめると
テレビ、ゲームの時間と子どもへの悪影響は
相関関係はあるが因果関係はない
という結論でした。
つまり、確かにテレビ、ゲームの時間が長い子が肥満、問題行動などをとっていることが多いのですが、テレビ、ゲームが原因でそうなっているという根拠はないというものです。
また、テレビやゲームを1つにまとめずに考えると
教育番組を長時間みて育った子の学力が高いという研究結果があったり、ロールプレイングゲームなどの複雑なゲームは子どものストレス発散、忍耐力、創造性を培うのにむしろ良い影響がある というデータもあるほどでした。
勉強よりも大切なこと
それが非認知能力と呼ばれるものです
非認知能力とは例えば自制心ややり抜く力などです。
そういう力をもった子を育てたいと多くの親は思っていますよね。
実際にこれらが高いと将来の年収、学歴や就業形態などの労働市場における成果にも大きく影響するようです。
さらにこの力は鍛えることができる とも書かれています。
自制心は細かく計画を立て、記録し、達成度を自分で管理することで
やり抜く力は自分の能力はもともとではなくて、努力によって後天的に伸ばすことができる という心の持ちよう
で伸ばすことができるそうです。
教育への投資時期
そもそもこの考え方は1992年のノーベル経済学賞を受賞したベッカー教授が提唱した「人的資本論」というものがもとになっています。
教育を経済活動としてとらえると、将来に向けた「投資」として解釈できる
この際もっとも収益率が高いのは
子どもが小学校に入学する前の幼児教育
だそうです。
この投資というのは、何もお金をかければいいということではなく、しつけなどの人格形成、体力や健康などすべてに対してというものです。
これらによって直接の学力の推移だけでなく、もっと遠くの将来に子どもにとって有益な影響を与えることができる ということです。
おわりに
いかがだったでしょうか。
ぼくの中でこの本で一番の納得は
教育の分野は「一億総評論家」というところです。
それぞれに子育ての経験、自分が受けてきた教育の価値観、自分の人生観などをもとに教育を語るので、さまざまな方向へ議論が脱線しがちになります。
だからこそ、ある程度の科学的根拠や費用対効果という点で教育の現場での議論も活性化して行ってほしいものです。
今日は初めて自分が普段携わっている教育の分野の内容だったので少しだけ長めになりました。
ここまで読んでくださってありがとうございました。