おはようございます。”おこめさん”です。
タイトルを読んで、ケーキが切れないってどういうこと?
って思われたかと思います。
これは包丁が持てないとかそういうことではなく、
等分できない
という意味です。
実際に少年が書き込んだ絵を再現したのが下の図です。
ケーキが切れないとはこういうことを意味します。
こういう子たちが学校に今もいるかもしれません。
この子たちは、学習面だけでなく人間関係にも難しさを抱えている場合があるといいます。
知ってるかどうかで、子どもたちへの接し方が変わる、そう感じさせられる1冊でした(最後にも書きますが、学校の先生はぜひ読んでみてほしい)
ということで今日は「認知の壁」というテーマでまとめていきます。
参考
ケーキの切れない非行少年たち
(すでに販売数60万部を突破しているそうで、漫画にもなるようですね)
おこめさん→教員10年の後、4月から独立、6月からオンライン塾を開校予定。2021年3月末まで半年間の育休取得の2児のパパ。
目次
誰が書いてるの?
宮口幸治さんという方が著者です。
児童精神科医として大阪の公立精神科病院で勤務されたのち、少年院で法務技官として3年間勤務されていました。
公立の精神科病院では発達障害、被虐待、不登校などさまざまな症例を見られてきました。
その後、医療少年院に行かれたわけですが、そこでいくつかの気付きがあったそうです。
病院には保護者や支援者がいるから、連れてこられるわけで、病院に来れる子たちというのは、そもそも比較的恵まれた子たちだったんだということ。
医療少年院に来る子たちの多くは、問題があっても病院に連れてこられず、障害に気づかれず、学校でイジメに遭ったりして、非行に走って加害者になり、警察に逮捕され、更に少年鑑別所に回されて初めてその子に「障害があった」と気づかれるという現状があったということです。
その子たち自身が抱える様々な困難に誰にも気づかれずに来てしまったということなんです。
ケーキが切れないだけじゃなく
うまく絵を写すことも困難な子もたくさんいたそうです。
その他にも
・簡単な計算ができない(100ー7=3、993、107と答える)
・漢字が読めない
・短い文章すら復唱できない
・九九を知らない
・日本地図で自分の住んでいる地域がわからない
・ほとんどの話を聞き間違える
・周りの状況が読めない
こんな状況の子が多かったそうです。
これらのほとんどはただ「勉強が苦手」というよりは、もっと根本的な認知機能の弱さがあるといいます。
認知機能とは、記憶、知覚、注意、言語理解、判断、推論のようないくつかの要素が含まれた知的機能を指すそうです。
つまり、認知機能とはすべての行動の基盤でもあり、教育、支援を受ける土台だということです。
この認知機能の弱さは、そもそも間違った情報を受け取ってしまうことにつながったり、情報の一部分しか受け取れない状況を引き起こします。
学校では主に、見る、聞くを通して情報が入っていきますよね。
その力が弱いということは正しく情報が入ってこないということになるのです(もしくは入ってきた情報を正しく整理できない)
例えば、学校で
「算数の教科書の38ページをあけて5番の問題を解きましょう」といってもその指示が聞き取れない。
そこでキョロキョロしたりぼーっとすると不真面目に見えるかもしれません。(かといって指示を板書すればみんなが正確に情報を受け取れるというものでもない)
また見る力が弱いと
文字や行の読み飛ばしが多い、漢字が覚えられない、黒板が写せない、などがあり、
周囲の状況を適切に感じ取れないので(見れていない)、”自分は皆から避けられている””自分だけ注意されてしまう”などの被害感や不公平感を募らせることになるといいます。
これらが認知機能の弱さが”不適切な行動”につながる原因です。
反省しろ!!
そんな子どもたちに対して、医療少年院で行われていた矯正させるための教育は意味があったのでしょうか。
被害者の手記が送られてきたとしても、そもそもその手紙を読むことができないわけです。
かろうじで読めたとしても「この人が何を言っているのかわからない」という状況にもなっていたといいます。
根本の認知機能を育てることをしないと、自分のやったことを理解したり、相手の思いを想像したりすることが困難なまま「反省しています」となるわけです。
そこで筆者はこれらの認知機能の弱さを改善するためのトレーニング(コグトレ)を子どもたちに向けて始められたそうです。
これの状況を知って
認知機能の弱さについて読めば読むほど、学校現場の子どもたちの姿が浮かんできました。
土台となる部分に困難を抱えている子の、そんな状況に気づいてあげられていなかったことに、今更ながら反省しました。
知っているだけでも、対応は変わったかもしれない。
ただ、相手の気持ちを考えさせる、それだけではない、別のアプローチもできたかもしれない、そう思うのです。
また、非行に走る子どもたち以外にも、学習に困難を抱えている子たち(黒板をうまく写せない子)はたくさんいて、楽しみながらでも一緒にコグトレなどをしていくのもできたのかもしれません。
この本は全国の先生すべてに読んでほしい!
そう感じました。
おわりに
ぼくはすでに公立の学校という場から離れていますが、それでも教育に対する情熱は今でも熱く持っています。
この本には、知ってるだけでも認識が変わる、たくさんの知見がつまっています。(もちろん、コグトレのいくつかの方法なども)
誰にも気づかれないまま、罪を犯すところまでいってしまう。そんな子どもたちを少しでも減らすためにも、学校の先生にぜひ読んでもらいたい1冊でした。
今日もここまで読んでくださってありがとうございました。