おはようございます。おこめさんです。
昨日はコレラ感染の原因をつきとめ、疫学の基礎を築いたジョン・スノウの統計学から、教育界にもエビデンスが重要という話をまとめました。https://note.com/embed/notes/n21fcf6a6c969
今日は、そこからさらにエビデンスの質の違いについて深堀りしていきます。
なんでもかんでも「エビデンスが重要」
というわけではなく、確実にそのエビデンスにも信頼性の違いというものがあるはずです。
でもその違いがどこから生まれるものなのか、どういった違いがあるのか
それを知らないと
「これはエビデンスに基づいた確かなデータです」
と言われたときに鵜呑みにしてしまう危険性があります。
ということで今日は、学校では教えてくれない「エビデンスの質って説明できる?」編です。
おこめさん→10年間の学校勤務ののち、学校だけでは届ききらない教育を届けるために独立。オンライン塾おはこやを運営。
※ここでいう学校では教えてくれないというのは、カリキュラムに入っていないけど生きていく上で大切なことについて取り上げています。
目次
目次
- 信頼度の低いエビデンスとは
- 信頼度の高いエビデンスとは
- おわりに
信頼度の低いエビデンスとは
エビデンスとは「科学的根拠」のことを指します。
現代の医療では(コレラ感染拡大真っ只中より進んで)必ずエビデンスに基づいた治療を選択しなければいけないということになっていて、欧米では教育や政策決定においてもエビデンスが重要視されるべきであるという法律やガイドラインが増えているそうです。
ここで大事になってくるのが、科学的に研究された結果は何でも「エビデンス扱いするのか」という問題です。
実はエビデンスはそのすべてが横並びになっているわけではありません。
その信頼性に基づき、著書では以下のようなランク付けがなされています。
レベル1 専門家の意見、基礎実験
レベル2 疫学、観察研究
レベル3 ランダム化比較実験
レベル4 メタアナリシス/統計的レビュー
レベル1 専門家の意見がエビデンスとして最低限の信頼しかないというのはイメージがつきやすいかと思います。(なにかの実験データをもとにではなく、あくまでも意見)
基礎実験というのは、試験管の中で行った生化学的な実験やネズミやサルなどを使った動物実験のことを指すそうです。
この中で筆者がもっとも微妙な気持ちになったエビデンスを紹介します。
それは「卵がうつ病にきく」というものです。
ネズミに1ヶ月卵を食べさせた場合、そうでない場合よりも水槽で溺れそうになったときに1.3倍の時間あがき続けることができた
というものです。
そもそも溺れそうになったときに、諦めずにあがくことと
人のうつ病状態の改善にどれくらい関係があるのかが気になるところですが、
このようなエビデンスは世の中にたくさんあふれているといいます。
信頼度の高いエビデンスとは
ランダム化比較実験とは、例えば臨床研究においては以下のように定義されています。
https://www.healthliteracy.jp/yougo/ragyo/rct.html
臨床研究では治療群(治療を行う群)と対照群(治療をせず観察のみの群)の2つに分けて比較するが、2つの群に分ける際に無作為に分けている研究を指す。無作為に割り付けることにより両者の性質が均等になることが見込まれるため、二つの群の性質の違いが結果に影響を及ぼす可能性が少なく、非ランダム化比較試験よりも高いエビデンスレベルであるとされている。
これを見ても、この実験方法で得られた結果はかなり信頼性の高い情報であることがわかります。
しかし、この方法の唯一の課題は
この対象となった人が全人類からランダムに選ばれたわけではないという点です。
70歳以上の老人においては とか
大学生だけ とか
医者だけ
のような限られた集団の中では確かに妥当な推論ができたとしても「他ではどうなのか」という批判をかわしきることができません。
そこでもっともエビデンスレベルの高い、系統的レビューとメタアナリシスがあります。
系統的レビューとは、あらかじめ「レビューする論文の条件」を決めた上で過去に公表された関連分野の文献すべてから条件に該当するものを選び出し、その結果を整理しながら書かれたレビューのことです。
あらかじめ条件を決めておくことで、自説に都合のよい結果ばかりを示すことを防ぐことができます。これによって客観的な情報として位置づけられるものといえます。(自説に基づくレビューのことを叙述的レビューと呼ばれるそうです)
さらにメタアナリシスは、こうした系統的レビューの中で、複数のランダム化比較実験や観察研究の中で報告された統計解析の結果を、さらに解析してまとめあげる作業のことをいいます。メタ分析やメタ解析といわれることもあります。
おわりに
このようにエビデンスには確かなランク付けがされています。
しかし、ぼくを含め多くの人はエビデンスに対して信頼度の差があること、そのレベル分けについて知らなかったと思います。
そこに「これには科学的なエビデンスがあります」と売り込みに来る人たちがいれば、信じそうになってしまうのもわかります。
大事なことは今日紹介したような、エビデンスの信頼性の程度を推測できる基礎的な知識を知っているかどうかということです。
少なくともこれからを生きる子どもたちは、ネット上にあふれるさまざまな情報を信頼性も含めて取捨選択していく力が必要です。
明日はここからさらに、ネット検索でエビデンスの質の高い情報を見つけてくる方法について解説します。
もしよければ明日も見に来てください。
今日もここまで読んでくださってありがとうございました。
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